今回は9月2日上場予定の、メディア総研株式会社のIPOについて書いていきます。
この記事に辿り着いたあなたは、メディア総研の上場ニュースを耳にして、詳細情報が気になっているのではないでしょうか。
もしくは久々の主幹事証券となった東洋証券の担当者から、プレマーケティングやブックビルディング参加の提案を受けた、という方もおられるのではないでしょうか。
始めに申し上げますと、今回のメディア総研ですが、同日上場のモビルスと並び、9月最初のIPOということで、9月以降の新興市場を占う上でも注目の案件といえます。
そんな同社のIPO、結論からいうと公募価格を越えた初値形成が期待できると見ており、ブックビルディングには積極参加のスタンスをご提案します。
以下、本記事ではメディア総研の会社情報をはじめ、業務内容、財務状況分析を踏まえた初値予測や、ネット上の声、お勧めの証券会社について解説していきます。
本記事を最後まで読めば、メディア総研のIPOについて、ご自身の投資判断に必要十分な情報を得ることができますので、ぜひ最後までお付き合い下さい。
1. 【結論】メディア総研のIPO予想・初値予測
評価 | B |
業績 | ★★★★☆ |
初値予想 | 3,800円~4,000円(※) |
吸収金額 | 8.7億円 |
公募売出比 | ★★★☆☆ |
おすすめ度 | ★★★☆☆ |
主幹事証券 | 東洋証券 |
※当メディア「POラボ」チーム独自の予測です。
東洋証券が2017年以来の主幹事となった、メディア総研のIPO。
時価総額は30億円程度とIPO規模でいえば中型の上場案件です。
高専生・理工系大学生向けの就活イベント運営が収益の柱で、無借金経営かつ6期連続増収見込と、強固な財務基盤が魅力の案件となっております。
初値予想は、業種の新規性、当日の需給予測の観点から、B評価の3,800円~4,000円程度と予想。主幹事証券である東洋証券でのブックビルディング参加が最も当選確率が高そうです。
2. メディア総研のIPO条件
項目 | データ |
---|---|
上場日 | 2021年9月2日 |
ブックビルディング期間 | 2021年8月18日~8月24日 |
公募株数 | 100,000株 |
売出株数 | 200,000株 |
オーバーアロットメント | 45,000株 |
公開株数(合計) | 345,000株 |
上場時発行済み株数 | 1,154,000株 (公募分を含む。新株予約権の権利行使により増加可能性あり。) |
オファリング・レシオ | 29.9% |
単元株数 | 100株 |
想定ベースの時価総額 | 約30億円 |
想定価格 | 2,600円 |
仮条件 | 2,600円~2,900円(100円刻み) |
払込金額 | 2,210円 |
公開価格 | ◯,◯◯◯円(8月25日発表予定) |
吸収金額 | 約8.9億(想定価格ベース) |
時価総額 | 約30億円(想定価格ベース) |
初値結果 | 3,800円~4,000円(※) (公開価格1.72~1.81倍) |
幹事団(★主幹事) | ★東洋証券 FFG証券 SBI証券 いちよし証券 東海東京証券 岡三証券 極東証券 松井証券 |
委託見込 | 岡三オンライン証券 DMM株 |
※当メディア「POラボ」チーム独自の予測です。
以下、まずはIPOの条件について見ていきましょう。
想定価格は2,600円と、最近のIPOの中では比較的高めの水準ですが、オファリング・レシオもうまく絞れており、
ロックアップも懸念材料にはならなそう(詳細後述)なため、需給関係は特段問題ない印象です。
ここで気になるのはやはり久々の主幹事となった東洋証券の存在です。
2017年にマザーズ上場を果たした、【3976】 シャノン以来の主幹事案件ということで、個人投資家がどう受け取るかは、注目したいところです。
こちらについては、SNS上での反応を後述しておりますので、そちらも合わせてご確認ください。
3. メディア総研の会社概要
続いて会社概要に移ります。メディア総研の基本情報は以下の通りです。
項目 | 基本情報 |
---|---|
市場 | マザーズ |
業種 | サービス業 |
事業内容 | 高専生・大学生向け就職活動イベント業務、就職関連企画制作業務 |
企業情報 | https://mediasouken.co.jp/ |
資本金 | 6,485万円 |
設立年月日 | 1993年3月9日 |
決算期 | 7月 |
代表取締役名 | 田中 浩二 |
監査人 | 如水監査法人 |
従業員数 | 30人 |
平均給与 | 4,296 千円 |
平均年齢 | 35.0 歳 |
株主名 | 会社との関係 | 保有株数 | 保有比率 | ロックアップ条件 |
---|---|---|---|---|
田中 浩二 | 代表取締役社長 | 1,000,000株 | 94.88% | 180日 |
野本 正生 | 取締役副社長 | 20,000株 | 1.90% | 180日 |
新潟 真也 | 取締役 営業部長 | 10,000株 | 0.94% | 180日 |
吉行 亮二 | 社外取締役 | 10,000株 | 0.94% | 180日 |
門司 明子 | 常勤監査役 | 5,000株 | 0.47% | 180日 |
吉居 大希 | 監査役 | 5,000株 | 0.47% | 180日 |
谷口 陽子 | 取締役 企画制作部長 | 4,000株 | 0.38% | 180日 |
まず特筆すべきなのは、従業員が30人と少数先鋭であることです。
最近は100名程度で上場を目指すケースが多い中、30名で上場審査を突破したことは凄いことで、
会社資産のみならず、従業員も効率的に活用できている印象を受けました。
この効率経営が、高い利益率の源泉であることはいうまでもありません。
また、前項でも触れましたが主幹事証券に東洋証券、さらに監査法人には如水監査法人と、
通常上場準備会社が競うように使う大手証券、4大監査法人ではない点も注目ポイントです。
大手証券や4大監査法人の上場ノウハウを駆使することなく、ゴールまで辿り着いた実力ある会社、とみることもできますが、
「聞いたことのない監査法人だけど大丈夫か?」という声も一部では聞こえそうです。
尚、如水監査法人は、メディア総研以外には上場会社の監査クライアントは3社あるようで、これまでも特に大きな問題なく監査業務を行っている監査法人のようです。
3-1. メディア総研の事業内容
事業としては、高専生、理工系大学生をターゲットにした就職活動支援事業を展開しています。
具体的には、
- 合同会社説明会等の就職活動イベントの開催
- WEBマガジン、就活手帳作成
といった、就職・採用活動の助けになる商材の企画制作が挙げられます。
また2019年6月に、株式会社マグネッツを吸収合併したことを皮切りに、元々同社が提供していたWEBサイト制作及び保守サポート、動画制作、DTP制作等の業務も提供を開始。
採用力強化を目指す企業の採用ページ作成を行う等、高いシナジーの創出に寄与しております。
中でも就職活動イベント関連の売上が同社の72.5%を占めており、収益の柱となっておりますが、
特徴的なのは、ターゲットを高専生及び理工系大学生に絞り込んでいる点です。
通常この層の学生は就職において教員の関与が強く、教員のコネクションを活用して進路を選ぶことが一般的で、採用企業としてはなかなかアクセスすることができない層でした。
そんな中、同社はキーマンとなる教員と良好な関係を構築しており、教員経由で各種就職イベントへの参加を促すことで、希少な学生の参加率が高いイベントの運営が可能です。
企業は、通常イベントに参加しない、希少性の高い人材と出逢えるチャンスとなり、
学生にとっても教員のコネクションに頼らず自身で就職先を探すことができるため、双方が効率的にコンタクトできる場として、人気を博しております。
また教員は学生の就職活動サポートに割く時間の削減に繋がるインセンティブが働くため、イベント参加をより促してくれるようになり、
回を重ねるごとに出展企業数が増加する等、結果として同社の高い成長を牽引するサービスへと成長しました。
同社がターゲットとする高専生、理工系大学生は年間33,000人もいるため、長期に渡り飽和せず、
またオンライン開催等のコロナ対応も出来ているため、今後も安定的にキャッシュを創出することができる事業であると考えられます。
3-2. メディア総研の財務情報
メディア総研の主要な財務情報の推移は、以下の通りとなっております。
尚、第30期については第3四半期までの累計実績となっており、通期では増収増益を達成する見込となっております。
コロナの影響でコストが嵩み、減収となった昨年度の影響も当期は心配なさそうで、むしろ過去最高益を達成しそうな勢いです。
在庫のいらないビジネスモデルということもあり、バランスシートが軽く無借金経営で、
主なコストが人件費のみに留まるため、利益率の高い、良好な財務状況が伺えます。
財務の観点でも、減損リスクがある資産がのれんとソフトウェアぐらいで、それぞれ4百万円、16百万円と金額的影響も小さく、子会社もないため予想外の業績悪化に見舞われるリスクは限定的でしょう。
一方で就職活動の繁忙期である、第2四半期、第3四半期に売上・利益計上が偏る傾向があるため、現状の財務諸表が良く見えすぎる気もしています。
そのため、第4四半期の結果によっては、成長鈍化と取られ、失望売りが出てくる可能性もありそうです。
上場後2週間程度で本決算の開示があるため、特にセカンダリー狙いの方は少し注意すべきかと思います。
3-3. メディア総研の事業・サービスに関するネット上の評判
メディア総研の提供する主要サービスである、
- 専生のための業界研究セミナー
- 専生のための業界研究セミナー
について、ネット上で調査した限りでは、当該イベントを批判するような記事や投稿は見つかりませんでした。
関連するツイートとしては、採用担当者が当該イベントの告知を行ったり、集客を目的とした以下のような類のものがほとんどです。
Twitterでの意見
明日/明後日はいよいよメディア総研「高専生のための仕事研究セミナー」一挙4箇所開催です。。今年もこの季節がやって参りました! 1/18 広島地区&東海北陸地区 1/19 京阪神地区&北海道地区 メンバーズ採用チーム総出で参加します!WEB業界でのお仕事に興味がありましたら、是非お越しください〜!!
Twitterでの意見
高専生のための業界研究セミナー2021@福岡にやって参りました! このあと13時からお話しさせて頂きます。福岡の皆さんにお会いできるのを楽しみにしています!
しかしながら、参加者からの投稿は少なく、参加者側の話題性という意味ではやや盛り上がりに欠ける印象ですが、
イベント自体に対する批判的な意見がない点はポジティブに捉えてよいと思います。
4. 各証券会社のIPO割当枚数と当選期待の高い証券会社
証券会社 | 割当枚数 | 予想抽選配分枚数 |
---|---|---|
主幹事 | 東洋証券 | 40,000枚 |
幹事 | FFG証券 | 15,000枚 |
SBI証券 | 12,000枚 | |
いちよし証券 | 12,000枚 | |
東海東京証券 | 9,000枚 | |
岡三証券 | 6,000枚 | |
極東証券 | 3,000枚 | |
松井証券 | 3,000枚 | |
委託幹事 | 岡三オンライン | 未公表 |
DMM株 | 未公表 |
なお、主幹事証券である東洋証券は、対面メインの証券会社ですが、ホームトレードというネットサービスにも力を入れています。
ところが今回のメディア総研IPOは、ホームトレードで取り扱わないことが決まっており、対面での新規口座獲得に使われる側面が強そうです。
また少し前の情報ではありますが、東洋証券は引受数の10%のみが完全抽選で、残りは裁量配分の噂があるため、
新規口座の開設をすれば、当選確率が上がる可能性もありそうです。
口座維持管理料も無料なので、抵抗がない方は口座開設してみても良いのではないでしょうか。
尚、直近の情報については、念のためお近くの窓口にてお問い合わせください。
一方で口座開設に足を運ぶ手間を考えれば、ネット系の、
で狙ってみるのが良いでしょう。
いずれにせよ、収益基盤も安定した、底堅い案件ではあるので、ブックビルディングには積極参加のスタンスで良いかと思います。
5. メディア総研のIPO初値予想
今回のIPOに関して、
- 当メディア「IPOラボ」の初値予想
- 各IPOメディアでの初値予測
2つの初値予想に関する情報をまとめました。
5-1. IPOラボ運営チームの初値予想
さて、最後に気になる初値予想ですが、少し広めのレンジを設け、3,800円~4,000円程度とさせて頂きます。
公募数を比較的絞り、公募株以外は全てロックアップ対象でVCも不在、ロックアップ条件も一律180日ということで、
受給面の問題はなく、価格を捻じ曲げ得る売り勢力は見当たりません。
しかし当日の需給関係を考えると、マザーズ上場ではあるものの比較的目新しさの薄い業種であり、
個人の物色意欲もそこまで高まらず、同日上場のモビルスの方に向かいそうな印象です。
また前述した通り本決算も控えるタイミングでの上場となるため、買いの本番は本決算結果を待ってからと手控える層も一定程度存在しそうなことから、
想定価格の1.5倍よりやや保守的な3,800円程度での初値形成を予想します。
それでも公募価格の1.5倍程度、最小単元でも12万円程度の利益になるため、IPOとしては十分な魅力的な案件だといえます。
5-2.各IPOメディアでの初値予測
- IPOチャレンジャー:4,000円~4,400円
- やさしいIPO株の始め方:4,500~5,000円
(尚、同社提供の初値予想アンケートでは7,800円以上がトップ) - 庶民のIPO:3,120円~3,640円
- (尚、同社提供の読者予想は3倍の7,800円以上)
他のIPOメディアを見ると、初値の予想は4,000~4,500円が最も多そうです。
6. メディア総研のIPOに関するネット上の意見
SNS上では、メディア総研上場に期待する声が多い印象です。他には東洋証券に関連した記載が多いですね。いずれもネガティブなものではありません。
尚、Twitterではメディア総合研究所の記者逮捕の話題も多く見つかりますが、同社とは別物ですので、ご安心ください。
Twitterでの意見
「IPO初値予想」#メディア総研(9242)初値上昇の期待は中!? IPOの初値予想をまとめました! 小規模で当選確率が低いですが、初値上昇の期待が持てそうです!
Twitterでの意見
新規IPOのメディア総研面白そう
Twitterでの意見
8/18 BB開始の #メディア総研(9242)ですが、 #東洋証券 さんが恐らく約4年ぶりの主幹事。 #IPO のネットオーダーいけるだろうと思ってたらまさかの店頭電話のみ受付! ってことで雨の中、大阪支店に来訪し口座申込してきました。 申込期限は8/24(月)の9:30です。大丈夫と思うが間に合うかな..
まとめ|メディア総研の初値には十分な期待値あり!
以上の通り、ネットを中心に高い関心を集めているメディア総研のIPOですが、
ユニークで底堅い事業内容・強固な財務基盤を背景に、公募価格を越えた初値形成が期待される案件です。
東洋証券で対面口座の開設が最も当選確率が高まるため、どうしても欲しい方は同証券でのブックビルディングに参加、
ネット系証券は第二、第三候補といったスタンスでお楽しみ頂けると幸いです。